モノが、感情の栞へ。
名前は、意識の羅針盤。
ネーミングとは、そのもの自体に世界観を付与する行為だと考えています。
クールな印象、ふわっとした印象、味わい深い印象、あるいはクスッと笑ってしまうようなユーモラスな印象……。
名前が与えるイメージには、実にさまざまな方向性があります。
その名前があることで、使う人の心が前向きになったり、暮らしにささやかなインパクトをもたらしたり。
そのように機能したならば、それはネーミングの成功だと言えるでしょう。
QUTOTEN.では、ブランド名やプロダクトの名称にかなりこだわっています。
本当はこういう話、いちいち説明せず「粋」にスルーしたいところですが……ちゃんと伝えていかないと埋もれてしまう世の中でもあるので、そのジレンマを、こうしてエセーという形で書き留めておこうとおもいます。
ウイスキー片手にしっぽりと語るような雑談のつもりで、さらっと読んでいただければ嬉しいです。
※後半にいくにつれて、徐々にくだけた語り口になりますので、あしからず。笑
最初に名づけたのは「QUTOTEN.」
はじめに名前をつけたのは、ブランド名である「QUTOTEN.(くとうてん)」です。
日本人なら誰もが知る「。」や「、」のことですね。
句読点は文章を読みやすくしたり、リズムをつけたりする効果があります。
これをもっと拡大解釈すると、句読点は「余白」を生み出す役割を担っていると捉えることができます。
現代は、インターネットと切り離せない情報過多の時代。
多くの人が、余白の少ない生活を強いられているようにおもいます。
タスクに追われ、通知を気にしながらSNSを無限スクロールし、あちこちで広告が購買意欲を刺激する。
自分と他者の比較で生まれる射幸心は、あらゆる方向から欲望をかき立て、なかなか心が満たされません。
そんな忙しい暮らしに、句読点を打つ。
QUTOTEN.のプロダクトに触れているときくらいは、世間の喧騒を忘れておだやかな時間を過ごしてほしい。
「このお茶、美味しいなあ」とか、「そろそろ鉢を植え替えてみようかな」とか。
そういう類の豊かさって、GDPや経済指数にはなかなか反映されないんですよね。笑
日本人がもつ幸福への感性は、数値化しづらい領域にあるのだとおもいます。
欧米的な「勝利」や「支配」という概念のように、定量的に測れるものばかりではないですから。
日本に旅行で訪れる外国人の多くも、そんな日本の哲学や精神性を体感しに来るのでしょう。
禅や茶道などは、その分かりやすい例ですね。
さて、話が逸れましたが、こうした「余白」を生み出すことが、私たちのブランドの最も深い部分にある根源です。
物質主義の次に来る世界では、こうした日本の美学や思想がいま以上に注目されるだろうと感じていますし、それを世界に向けて発信していきたい。
その想いを「QUTOTEN.」という名称に込めています。
「QUTOTEN.」の字面について
ここからは名前の“字面(じづら)”に関する余談です。
非常に些細なことなので、読み飛ばしていただいても大丈夫かもしれません。笑
「くとうてん」をそのままアルファベットで表すと、
KUTOUTEN
KUTOTEN
となりますよね。
しかし、実際のブランド名は
QUTOTEN.
となっています。
このKがQに変わっているのは、ただの差別化のためだけではありません。
ちゃんと理由があります。
なんと!
Qという文字には「。」と「、」が隠れているんです!!
……はい、それだけです。笑
こういうの、気持ち良くないですか?
普段はデザインやブランディングの仕事をしているので、こういうちっちゃい事に意味性を見出すのが職業病になっております。。
- オリンピックの五輪ロゴはなぜあの5色なのか?
- キリンビールの麒麟には隠された文字がある?
- Amazonのロゴの矢印にはどんな意味がある?
- FedExのロゴには隠し絵がある?
- ウイスキー山﨑のラベルに込められた遊び心
- etc.
デザインに関する裏話を挙げればキリがありません。
僕自身がロゴやクリエイティブをデザインするときも、必ずそういう仕掛けや遊び心をどこかに入れています。
AI時代だからこそ、こういう人間臭いこだわりを大事にしたいですね。
(やりすぎると怒られることもありますが….笑)
そしてもうひとつ、ブランド名の最後にある「.(ピリオド)」も、よく見落とされます。
コラボやお仕事のご依頼をいただく際に、高確率で「.」が省かれているのも事実….笑
正直、そこまで気づいてもらえなくても仕方ないとおもっていますし、抜けていたからといってネガティブに受け取ることはありませんのでご安心を。
ただその分、きちんと「.」を付けてくださる方にはなおさら好印象です。笑
あえて「.」を付けている背景には、「ピリオド=英語における句点」の意味合いと、文章の中で微妙な空白を生み出し、ブランド名をほんの少しだけ際立たせたいという狙いがあります。
例:
- QUTOTENは日本の工藝ブランドです。
- QUTOTEN.は日本の工藝ブランドです。
どうですか?
ほんの少しだけ印象が変わりませんか?
ささいな違いですが、このさりげない違和感を大事にしています。
「神は細部に宿る」というように、こだわりとはフラクタル構造をしていて、部分と全体は自己相似になっているとおもいます。
つまり、一部を蔑ろにすると、全体の印象にボロが出てくる。
一流のレストランが皿や店内BGMにまでこだわるように、自分たちが気付ける最高の画素数で、ものづくりの質を高めていきたいものです。
むすびに
今回はブランド名「QUTOTEN.」の由来と、そこに込めた思いについてお話ししました。
いずれ機会があれば、他のプロダクト名の由来やネーミング秘話についてもお伝えしたいと思っています。
名前を付けたプロダクトは、どれも自分たちの子どものようなもの。
いわば“親バカ”な話なので、軽く聞き流していただければ幸いです。笑
ここまで貴重なお時間を割いて読んでくださり、ありがとうございます。
それでは、みなさまの暮らしに心地よい余白が生まれますように。
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